グリーディー(greedy)

ネイチャーポジティブについて、考えてみる。

代表浜出です。

今年5月から、一般社団法人サスティナビリティセンターが主催する「ネイチャーポジティブアカデミー」の第2期に参加して、ネイチャーポジティブについて学んできました。

生物多様性、地域の自然、農業、企業活動、人の行動、そしてネイチャーポジティブを実装していくための人材や仕組みについて…。

アーカイブ受講が多く、なかなか追いつけずにいましたが、ギリギリ間に合い、先日、修了証をいただきました。

改めて振り返ってみて思うのは

「ネイチャーポジティブについて、わかった」のではなく、「わからないことが増えた」ということ。

 

ネイチャーポジティブって、なんだろう。

そもそも私は、ネイチャーポジティブという言葉を、聞いたことはあるけれど、イメージだけで捉えていました。

環境にやさしい、自然環境を守る、資源を大切にする。

これらも間違いではないのですが、もっと複雑で、太刀打ちできないものでした。

生物多様性とは。

その地域にしかない自然とは。

企業活動は、自然にどんな影響を与えているのか。

そして、私たちの毎日の暮らしや経済活動そのものが、自然とどうつながっているのか。

考えれば考えるほど、単純な「自然にやさしい」という言葉では捉えきれなくなっていきました。

 

まず、「自然を知る」ということ。

生物多様性には、遺伝子、種、生態系という異なるレベルがある。

そして、同じ「種」であっても、地域によって遺伝的な違いがあり、その土地ならではの固有性がある。

「良かれと思ってやったことが、必ずしもその地域の自然にとって良いとは限らない」

ということに、ちょっとドキッとしました。

外から別の生き物を持ってきたり、何かを植えたりすることも、場合によっては地域固有の生態系に影響を与える。

私は研究者でも生産者でもないのですが、必要なのは「その自然を知ること」が大切なのだと。

 

「未利用だから、使えばいい」のか?

これは、天然回帰事業を実践する私にとって、大きな問いでした。

私たちはこれまで、地域で使われなくなった素材や、廃棄されてしまうものに目を向けてきました。

杉の未利用材、葡萄のツル、お茶の端材

それらを香りに変えることで、新しい価値をつくり、地域の中に経済を生み出す。

それが、天然回帰の「循環をデザインする」という考え方のひとつです。

「未利用資源だから、使ったほうがいい」

本当に?という疑問も湧き出たのも事実です。

「捨てられるものを活用する」という一見わかりやすい循環の中にも、まだ知らないことがある。

まだまだ学ぶことだらけだと途方に暮れたのも事実です(苦笑)。

 

人の手が入らないことが、自然にとって良いとは限らない。

もうひとつ印象に残ったことがあります。

人が自然に手を入れないことが、必ずしも「自然にとって良い」というわけではない。

たとえば、農地やぶどう畑のように、人が長い時間をかけて関わってきた「二次的自然」の中にも、生物多様性が育まれている場合がある。

人が適切に関わることによって、自然の状態が保たれることもある。

人が関わる。でもただ利用するのではなく、自然の状態を見ながら、適切な関わり方を考える。

なにをどうすればいいのかは理解できていませんが、そのバランスが大切なのだと思います。

 

「地域」という視点。

そして、私がもうひとつ強く惹かれたのが、「地域」という視点でした。

ネイチャーポジティブは、世界的な大きなテーマ。

でも、実際に自然があるのは、それぞれの地域で、その土地ごとに、自然も違えば、産業も、人も、暮らしも違う。

7限の「生物多様性と毎日の暮らし・企業活動の関係」というテーマは、すごく身近に感じることができました。

生物多様性というと、どこか遠い環境問題のように感じてしまう。

でも実際には、私たちが食べるもの、使うもの、働く場所、地域の産業など、毎日の暮らしや企業活動とつながっている。

自然は、経済や社会の「外側」にあるものではなく、その土台のひとつ。

そうか、そりゃそうだよねって腑に落ちました。

 

答えがない世界でシェアしあう強さ

もうひとつ、「ブリッジ人材」という考え方がとてもフィットしました。

自然科学の専門家だけでもない。行政だけでもない。

企業だけでもない。地域の人だけでもない。

それぞれの知識や立場をつなぎ、対話しながら、実装につなげていく人。

その中で紹介された「土壌を育むための6つの力と振る舞い」は、とても共感しました。

答えのない課題を前に、人と人を繋げ、問いを持ち、対話し、関係性をつくりながら、何かが生まれる土壌を育てていく。

これまでグリーディーがやってきたことと、どこか重なっているように感じました。

私たちは、香りをつくっている会社です。

私たちは、生産者にはなれない。そして、きっとこれからもならない。

だからこそ、生産者・研究者・行政とつながり、素材の背景を受け取り、発信することが必要。

それぞれが持っている経験や知見を少しずつシェアし、それぞれの強みを持ち寄ることで、新しいものを生み出していく、それが、私たちが描きたい世界です。

振り返ってみると、私自身がやってきたことも、ある意味では「ブリッジする」ことだったのかもしれません。

 

「自然と経済を切り離さない」

これまでグリーディーは、「人と地域を元気にする」「循環をデザインする」

ということを大切にしてきました。

それは地域の資源と女性の可能性をデザインし経済に繋げていく活動です。

今回の学びを通して、

その循環の中に「自然そのものの状態」を、もっと入れて考えなければいけないのではないか。

そんなふうに思うようになりました。

「人が幸せになる」「地域が元気になる」「経済が循環する」だけではなく、「その土地の自然は、どうなっているのか。」そこまで見ていく必要があるのかも…。

 

まだまだ「ネイチャーポジティブです」とは言えない。

今の天然回帰の事業を、「ネイチャーポジティブな事業です」とは、まだまだ遠いと実感しました。

自分たちが今やっている事業…に関わっているけれど、それだけで、自然にとってプラスだとは言えない。

私たちはこれから、自分たちの信じる活動が「本当にそうなのか?」と問い続けることを意識していきたいと思います。

 

身近な地域から考えてみたい。

ネイチャーポジティブという言葉は、世界規模で語られています。

でも私は、だからこそ足元から考えてみたいと思っています。

宮城には、森があり、海があり、農地があり、川があり、そこに暮らす人がいる。

そして、その自然と関わりながら仕事をしている人たちがいる。

天然回帰がこれまで出会ってきた地域の素材も、そのひとつです。

「素材」として見るだけではなく、その素材が生まれる場所。

そこで暮らす人。

そこにある自然。

本当の意味で「自然×想いの循環」を実践できる企業に成長したいと思います。

 

「循環をデザインする」を、もう一度考える。

ネイチャーポジティブアカデミーを終えて、

私は「ネイチャーポジティブについて学びました」と胸を張ることはできず、

むしろ「自分たちの仕事を、もう一度問い直すきっかけをもらった」というほうが近いです。

グリーディーがこれまで考えてきた「循環」は、

人と人。

地域と人。

資源と商品。

商品と経済。

そうしたものをつないでいく循環でした。

これからは、そこにもうひとつ、

「自然」

をしっかりと入れて考えてみたい。

人が自然と関わりながら暮らし、仕事をして、そこから生まれた価値が、また地域に戻っていく。

そして、その循環が、自然そのものの豊かさにもつながっていく。

そんな循環を、本当にデザインできるのか。

今はまだ答えはありません。

まずは、何からアクションすればいいのか、小さな1歩をさがすところからです。

 

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